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2022.12.12

相続全般

相続手続き中に預貯金は引き出せないの?

金融機関は、預金者の死亡を知った時点で預金口座の凍結を行います。以降、遺言で預金を相続する者を定めているか、相続人間での遺産分割協議で預金を相続する相続人を決めるまでは、預金全額の払い戻しには応じてもらえません。

しかし、被相続人が入院したまま亡くなった場合は、亡くなるまでの入院費等を支払わなければなりませんし、葬儀費用の支出も必要となります。場合によっては被相続人が亡くなった直後にATMからまとまった額を引き出し、それらの支払いに充てるといったこともあるようですが、相続開始直後の資金移動は、後日の遺産分割協議において他の相続人に不信感を抱かせる要因ともなりかねませんので絶対に避けるべきでしょう。

このような実情に鑑み、令和元年7月1日施行の民法改正により「遺産分割前の預貯金債権の仮払い制度」が新設され、遺産分割協議が成立する前であっても、一定の金額について仮払いを請求できることになりました。

仮払いを請求できる額は、「相続開始時の預貯金残高」を基準として、その3分の1に仮払いを請求する相続人の法定相続分を乗じた金額か、150万円のいずれか低い金額となります。

例えば、夫A・妻B・子Cという家族で夫Aが亡くなった場合で、相続開始時の夫AのU銀行の預金残高が600万円とした場合、法定相続分が2分の1である妻Bが仮払いを請求をして払い戻しを受けられる額は

600万円×1/3×1/2=100万円(預金残高600万円の3分の1に法定相続分2分の1を乗じた金額) となります。

上記の計算式により算出された金額が150万円より多い場合でも、仮払い請求できる上限金額は150万円ですので、それ以上の金額を遺産分割前に払い戻しを請求することはできません。

なお例外として、預貯金債権の仮分割の仮処分という方法もありますが、これは遺産分割の調停や審判手続きの際に、裁判所を通して行う手続きですので通常の相続手続きでは利用できません。

遺産を相続人間で分割する前に、葬儀費用や債務の弁済などを亡くなった方の預金から支払いたい場合は、専門家に一度ご相談ください。

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