newsお知らせ

2022.10.20

相続全般

どうやって相続財産を分けるのか?

まずは、相続人と相続財産の調査をして、相続人と遺産の範囲を確定させます。

これは後に説明する遺産分割協議において、「誰が(相続人の誰が)・なにを(相続財産)・どれくらい(割合)」で分けるのかを話し合う上で、相続人と遺産の範囲の確定作業は必須です。

 

相続人と遺産の範囲が確定したとして、どのようなステップで遺産を分けるかですが

 

ステップ① 遺言書がある場合

お亡くなりになった方が遺言書を残していれば、遺言書の内容に従って遺産を分けます。遺言書の効力は絶大で、相続人の誰に・どの財産を相続させるかを指定することもできますし、遺産の分け方を第三者に任せることも、相続開始時から5年を超えない期間を定めて遺産を分けることを禁止することもできます(民法908条)。このように遺言書の有無は、相続財産の帰趨に多大な影響を与えるため、お亡くなりになられた方が遺言書を残しているのかの調査は非常に重要です。(調査の方法についてはまた後日解説します。)

 

ステップ② 遺言書が無い場合

相続人全員で、誰がどの遺産を相続するのかということを話し合います(これを「遺産分割協議」といいます)。もちろん、誰か一人がすべての遺産を相続するという内容でも構いませんし、不動産は他の相続人との共有を避けるために、単独名義にして、預貯金などは相続人の頭数に応じて均等に分けるなどでも構いません。そして無事に協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成します。この書面は、法律上作成が義務付けられているわけではありませんが、不動産や銀行預金の相続手続きの際に必要となります。なお、協議といっても、なにも相続人全員が同じ場所に集まって会議をする必要はなく、電話やメール(いまでしたらラインでも)、ファックスなどを利用して協議を進めても構いません。要は相続人全員の意見がまとまりさえすれば良いのです。

 

ステップ③ 遺産分割協議が成立しない場合

相続人同士の遺産分割協議が成立しない場合、つまり相続人の誰か一人でも遺産分割協議の結果に合意しない場合、そのままでは遺産分割ができません。そこで、裁判所を通して遺産分割の方法を決めることになります。まずは、家庭裁判所の「遺産分割調停」の申立てをすることになります。これは、裁判所に相続人を呼び、裁判所の裁判官1名と調停委員2名を通じて、対立する相続人それぞれから事情を聞いて、お互いの妥協点を探るという方法です。遺産分割協議が成立しないのだから、裁判所で話合いをしても無駄ではないかと思われる者もいると思いますが、裁判官や調停委員といった第三者が、冷静な立場で無理な主張をする当事者を説得することができるため、調停で解決できることが多いのも事実です。遺産分割調停で協議が整えば、「調停調書」という裁判所作成の公文書に、その合意された内容が記載されます。この調停調書には、確定判決と同じ効力があり、遺産分割協議書の代わりになります。

 

ステップ④ 遺産分割調停が不成立の場合

遺産分割調停で協議が整わない場合、調停は不成立となります。その場合には、家庭裁判所の審判手続に進みます。この手続では、裁判官が、相続人の意思に関係なく、提出された資料等から誰にどの遺産を相続させるのかを決定します。この審判の結果は、「審判書」という裁判所作成の公文書に記載されます。これが遺産分割協議書の代わりになります。

 

ステップ⑤ 遺産分割の審判に不服がある場合

遺産分割の審判では、裁判官が、相続人の意思に関係なく、遺産分割の方法を決めてしまいます。ですから、相続人の中には、その審判の結果に不満を持つ者もいると思います。そのような相続人は、審判内容に不服があるとして、審判結果の告知を受けてから2週間以内に高等裁判所に即時抗告をすることができます。即時抗告すると、家庭裁判所での審判は確定せず、今度は高等裁判所で、誰がどの遺産を相続するのかが審理されることになります。

一覧に戻る

contactお問い合わせ

初回は相談無料です。

オンライン相談も可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

※事前にご予約いただければ休日対応可能です。